#142 袖プリント

2019.08.21 Wednesday

0

     

     

     

    2015年頃からだっただろうか。

     

    ストリートの流行と共に、市場に溢れかえった「袖プリント」のロンT。

     

     

    僕個人としては、好きでも嫌いでもなく、なんとなく傍観していたように思う。

     

    お店には仕入れをしたことがなかった。

     

    カッコいいと思えるモノがなかったから。

     

     

     

     

     

     

    2019年、8月。

     

    ここにきて出会ってしまった。

     

    カッコいいと思える「袖プリント」のロンT。

     

     

     

     

    Iroquois / MIXED RACE L/S T

     

     

     

     

    狂気だ。

     

    このロンTは、巷に溢れているアイテムと同列に語る事を許してくれない。

     

     

     

     

    まず、一番の特徴である袖部分のプリントだが

     

    右袖と左袖でデザインが全く異なる。

     

    「プリント」というのは、通常「版」と呼ばれる土台を作成する。

     

    その「版」に合わせて、様々な手法を使いプリントを乗せていく。

     

    この「版」は、べらぼうに高い。

     

    オリジナルで作成するモノはなんだってそうだが、高い。

     

    だから、通常「袖プリント」のアイテムは左右一緒の「版」を使い、同じデザインを施す。

     

    アイテムに統一感が生まれるし、何より安く仕上がる。

     

     

     

    Iroquoisが掲げたテーマ「Mixed Race」は、異文化の交流を主眼に置く。

     

    左右の袖でデザインを変える。

     

    1着の服で、端的にコレクションのテーマを表現する。

     

     

     

     

     

     

     

    そしてさらに。

     

    この袖のプリント部分には、4つの手法が使われる。

     

    たった1つのアイテムの、たかが袖に。

     

     

     

    一番特徴的なのは、「厚盛り」と呼ばれるラバー・プリントだ。

     

    まずラバー・プリントを施す為に、下地をプリントする。

     

    それが乾くまで、待つ。

     

    その後、通常のラバー・プリントを施す。

     

    そして、待つ。

     

    この工程を繰り返した後に、デザイン部分のラバー・プリントを施す。

     

     

     

     

    発想したデザイナー、マコさんも狂気だが、

     

    これを作成したプリント工場さんはさらに狂気だ。

     

    これだけ面倒な工程を、量産ベースに乗せて、作成する。

     

    「作る」ということに、プライドを持ってこそなせる業。

     

    このプリントをやってくれる工場さんは、日本中のどこを探しても、そう簡単には見つからないはず。

     

     

     

     

     

    「こんなん、出来ないかなあ?」

     

    「やってみましょうか」

     

     

     

    やり取りが思い浮かぶ。

     

     

     

    Iroquois / MIXED RACE L/S T

     

     

     

    この時代に、このタイミングで提案するアイテムとして、正解なのかどうかは分からない。

     

    ただ、僕が好きなIroquoisというブランドは、こういうことをやってのけてしまうのです。

     

     

     

    どうぞご贔屓に。